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神々の戯れ (薔薇と姫君 始まりの時) [創作童話]

神々の戯れ  (薔薇と姫君 始まりの時)

昔々、神々がまだ人と交わっていたころ、
気高い女神さまが、人間の若者に恋をしました。

狩りをする姿があまりに美しく、
どうしても若者を自分の側に置きたいと、望みました。

女神さまは、狩りを司る、強く美しい方でした。
ですが、若者には心に決めた娘がおりました。
女神様の美しさも、富も栄華も若者の心を動かすことはできませんでした。

この私よりいいなんて、どんな娘なんだろう?
女神さまはこっそり、若者の後をつけました。
若者はまっすぐに少女の元を訪れ、幸せな時間をすごしました。
少女はたおやかで美しく、小鹿の精のように可憐でした。
ああいう娘が好きなのか。。私の方が美しいのに。
女神様はなんとなく悔しくて、二人に魔法をかけました。

2人は石の彫像になりました。
魂だけは生まれ変わって、
いつか、人の世で、再び巡り合うことがあったなら、
永遠に2人の恋を許しましょう。
女神はいたずらっぽく笑いました。

2人の魂は人の世の果てとその反対側に転生しました。
出会うことなく一生が終わり、
その次はまた違う所で、
その次は一国の王と奴隷の娘、
南の島の漁師と北の狩人の娘、
流しの歌うたいに修道女。
決して出会うはずのない、いくつもの人生を終えました。
満たされぬ思いを抱えて、二人はいつも不幸せでした。

気の毒に思った愛の女神は、天使を呼んで言いました。
どうにかしてあの二人を会わせるように。
天使は小鳥に姿を変えました。
小鳥は薔薇の花と二人の像を受け取って、
東の宮殿と北のお屋敷に彫像を一体ずつ置きました。
やがて、出会う日のために。

狩の女神はそれを知っても、別に怒りはしませんでした。
気まぐれな女神さまは、別の若者に夢中で、
その若者も情熱的に女神様を愛していたので、
女神さまは二人のことなど、とうの昔に忘れていたのでした。

負けず嫌いの女神様は言いました。
もしも二人が出会えたら、
この世界に二人を魂を迎えるわ。
みんなで祝福しましょう。
でも、あと何百年かかるかしら?

同じく負けず嫌いの愛の女神さまもいいました。
私の名にかけて、不幸な恋人たちをこのままにしてはおけませんわ。
さあ、急いで。

小鳥は薔薇の花をくわえて、
人の世にむかって飛び立ちました。
使命は重大でありました。

      おわり

薔薇と姫君、この前、エピローグを書いたので、
プロローグも書いてみようかな、と。

私は幼いころ、絵をかくのと、本を読むのが好きでした。
学生のころから、絵を描くことはなくなって、
ひたすら本を読んでいましたが、
大人になってから、チャイナペイントや、トールペイントで、
お絵かきが復活。
最近は、本を読むことがほとんどなくなっていたのですが、
なぜかお話しを書いてみたりして。
元文学少女、根っこは変わってないのかな。
三つ子の魂、百まで?
私はきっと、一生、絵を描くことと、本(お話し)が好き、だと思います。


おまけ
IMG_0936.JPG
謹製白磁メタル

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残された者 (薔薇と姫君 エピローグ) [創作童話]

残された者 (薔薇と姫君 エピローグ)

消えてしまった姫君と北の若者のことは、
不思議なことに、人々の頭からきれいに消えてしまいました。
ただ、無口は王子様だけは、かわいらしい姫君の面影をわすれませんでした。
王子様は姫君があまりにかわいらしくて、まぶしくて、
ろくにお話もできなかったのですが、
姫君が大好きでした。
何処に行ってしまったのだろう?
でも、だれに聞いても、わからない。
夢だったのかな。

お城では王子様のお妃さまを選ばなくては、と
みんながいろんな国のお姫様の肖像画を集めてきました。
その中に、一枚、いなくなった姫君にそっくりの、
薔薇を持ったお姫さまの肖像画がありました。

王子様は心を決まました。
私はこの方とでなければ、結婚しない。

やがて大好きな薔薇の花と共に嫁いできたお姫様は、
確かに、いなくなった姫君に似ていました。
王子様は恥ずかしくてお話もできなかった昔より、
少し大人になっていました。
遠くから来た独りぼっちのお姫さまに、
何かと話しかけて、笑顔をみたいとがんばりました。

ところで、そのお姫様は、ダンスや歌より、
実は機械いじりが大好きで、
王子様とはとても趣味があいました。
2人は一日中、あれこれ部品をいじっては、
実験を繰り返し、色々な発明が生まれました。
薔薇のマークの発明品は国の財政を助け、
人々の生活を豊かにしました。
2人はいつまでも、幸せに暮らしました。

めでたしめでたし。

         おわり


残された王子様が気の毒だと、いうご意見があったので、追加です。

ついでに、これなら、革命もおきないのにな、というのもあります。
(王子様のモデルはルイ16世です)


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北の国の若者 (薔薇と姫君 その3) [創作童話]

続きです。


北の国の若者

遠い北の国に、広いお屋敷がありました。
お屋敷の庭には少女像がありました。
それは見る人がみんな、ため息をつくような美しさでした。
少女像の隣には薔薇の樹が植えられていて、
ちょうど髪の毛や胸元に、
飾るように薔薇の花が咲きました。

お屋敷には小さな若君がいらして、
若君はお庭で遊んだり、剣術の稽古をするたびに、
美しい像に目をとめて、うっとりと眺めるのでした。

いつしか時はすぎ、若君はりっぱな若者になりました。
父上は若者に諸国をみて、勉強してくるように命じました。
若者はいろんな国をまわり、さまざまな文化を学びました。
もとより剣の名手でありました。

やがて若者は西の国につきました。
とある舞踏会で、若者は一人の少女に目をとめました。
・・・なぜか懐かしい気がする。
それもそのはず、
その人はお屋敷の少女像に生き写しなのでありました。

若者は少女に近づき、話しかけようとしましたが、
周りの人に止められました。
少女は若者に気づかず、遠ざかってしまいました。
あの方に近づいてはいけない。
この国のお妃さまでいらっしゃる。

若者は目の前がまっくらになりました。
はじめて心惹かれた女性。
懐かしい面影を写す人。

翌日、若者はご挨拶のため、宮殿に出向きました。
そこにいたのは、紛れもなく昨日の人。
無垢な瞳の、儚げな人。

姫君は今日もいつものように、
美しく着飾って、人々の前におりました。
その時、ふと、一人の若者に目が止まりました。
大きな瞳を見開いて、少女は若者を見ました。
あなたは・・。
若者は少女が故郷にのこしてきた、美しい彫像にそっくりだったのです。

何世紀も前から、この時を待っていたように
2人の胸は高鳴りました。
けれども、言葉を交わすことはできません。

若者は悲しくなって、庭にでました。
庭の奥に、美しい薔薇が咲いているのを見つけました。
近寄ってみると、それは北の館の少女像の胸を飾っていたのと同じ薔薇でした。

ここであなたに会えるとは。
よく似た人はいるものだね。
若者は薔薇に話しかけました。

薔薇はにっこり笑っていいました。
貴方のお庭の薔薇は私の姉妹ですの。
小鳥さんがはこんでくれましたのよ。
若者は薔薇がしゃべるのを聞いて驚きました。

その時一羽の小鳥が飛んできて、薔薇の花をくわえて飛び立ちました。
若者は我知らず、その後を追いました。
角を曲がったところで、ぶつかりそうになったのは、
なんとあの姫君。

2人は永い間見つめあい、やがてお互いに手を取りました。
小鳥は薔薇を若者の上に落としました。
若者は薔薇を受け取ると、姫君の髪にさしました。
姫君はにっこりしました。
若者も微笑みました。
幸せな空気があたりに流れました。
薔薇の甘い香りが二人を包み込みました。
その瞬間、二人の姿は消えました。

2人の魂は、溶け合って一つになり、
高く高く空に昇っていきました。
2人を祝福するかのように、空は青く、どこまでも澄み渡っておりました。

残ったのは一輪の薔薇の花。
小鳥が飛んできて、薔薇の花を加えて飛び去りました。
薔薇は遠ざかる宮殿を見ながら言いました。
私たちの旅も終わるかしら?
小鳥はそっとうなづきました。



      おわり



IMG_0848.JPG


姫君のモデルはマリー・アントワネット、
北の国の若者はフェルゼン伯です。
現実には悲劇に終わった二人の恋ですが、
幸せにしてあげたかったので・・。
無理無理っぽいけど。^^;








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再び会う日(薔薇と姫君 その2) [創作童話]

前に書いたお話しの続きです。

再び会う日 (薔薇と姫君 その2)

姫君は遠い国からお嫁にきました。
そこは豊かで美しい国でした。
でも肝心の王子さまは無口で、引っ込み思案で、
少しも姫君とお話ししてくれません。

大きなお城の中で、大勢の人にかしづかれて、
綺麗なドレスに身を包み、その美しさをたたえられても、
姫君はすこしもうれしくありませんでした。

大好きだった昔のお庭に行きたい。
残してきた彫像に会いたい。
薔薇さんは元気かしら?
姫君は遠い祖国をなつかしみ、大好きだったお庭を恋しく思っておりました。

そんなある日、離宮のお庭で、懐かしいばらの花に会いました。
まあ、こんなところに?
ばらはにっこり笑っていいました。
小鳥さんが運んでくださいましたの。
まあ、なんて優しい小鳥さん。
こんなに遠くまで大変だったでしょう。
小鳥は姫君の手にそっととまると、
羽を広げてお辞儀をしました。

お姫様、あと少し。
もうすこしだけご辛抱くださいませね。
薔薇はそっとささやきました。
小鳥もさえずりました。
そう、あと少し。
・・あと少し?
何が少しなのかしら?姫君は不思議でした。

そこへ、侍女たちが急いでやってきました。
まあ、こんなところで。
皆さまお待ちかねですわ。
さあ早くお支度を。

あと少しって、何かしら?
いぶかしく思いながら、退屈な宮殿に
姫君は戻っていきました。

      つづく

IMG_0849.JPG

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薔薇のゆううつ [創作童話]

お話しはまだありますの。
お暇があったら読んでくださいませ。

薔薇のゆううつ

大きな白いお城の広いお庭に薔薇の花が咲いていました。
薔薇の花は悩んでいました。
どうして私はここにいるの?
小鳥さんがうらやましい。
私も遠くに飛んでいきたい。

翌日、お手入れに来たのは、まだ若い見習いの庭師さんでした。
庭師さんは薔薇をみると、目を丸くして、
うっとりとしていいました。
なんてきれいなんだろう。
薔薇の花はにっこり笑ってありがとう、といいました。

庭師さんに大切にされて、
薔薇は幸せでした。
でも、やっぱり遠くに行きたいわ。
お城の外、ってどんななのかしら?

あるとき庭師さんは思いつめたような顔をして、
薔薇のところにやってきました。
僕はどうしたらいいだろう?
あのひとは遠くに行ってしまう。
もう2度と会えないだろう。

あの人?ちょっと考えて、思いつきました。
ああ、お姫様。

薔薇は反対側の茂みの奥に時々入っていく、
若いばら色の頬の姫君を思い出しました。
薔薇はにっこり笑って、
私をその方に差し上げたら?
貴方の思いを伝えてあげる。

庭師さんは勇気をふりしぼって、薔薇を姫君に差し出しました。
姫君はにっこり笑って薔薇をうけとり、
きれいな金髪にさしました。
薔薇は姫君が好きでした。
庭師さんはね、お姫様が好きなのよ。
そっとつぶやいてみました。
でも、姫君には聞こえません。

聞こえませんでしたが、姫君は振り返って、
庭師さんに手を振りました。
庭師はとても幸せになりました。
でも、薔薇は少しゆううつになりました。
私ではだめだったの?

姫君はお城の入り口で、召使を呼んで、
薔薇の花を生けるようにいいました。

その時、一羽の小鳥が飛んできて、
薔薇の花をくわえて飛びさりました。
高く高く、広いお庭を超えて、
お城の外へ。

薔薇の花は初めてお庭以外の場所を見ました。
森や野原。町もありました。
まあ、なんて広いの!
なんて素敵!

薔薇の花はしばらくして、ふと下の方にかわいいお家をみつけました。
小さなお庭もありました。
あそこに行きたいわ。
小鳥はうなづき、小さなお家のお庭にばらをそっと置きました。

そこはお城の庭師さんの家でした。
するとあら不思議。
薔薇は少女の姿になりました。
その顔はばら色の頬の若い姫君によく似ていました。

家に帰った庭師さんは少女を見て驚きました。

それから、薔薇の少女と庭師さんはずっとずっと幸せに暮らしました。

おわり

IMG_0849.JPG
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